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高速道路
男は手を挙げてタクシーをつかまえる。
行き先を告げ、急いでいるので高速を使ってくれ、と運転手に早口で言う。
運転手はスムースなハンドルさばきで混雑する街中を巧みにすり抜け、造作もなく高速道路に入ってゆく。
外は春らしい陽気だった。上着を着ていると暑いくらいだった。
窓からさんさんと差し込む穏やかな日差しに男がまどろんでいると、タクシーはおもむろに上り坂に差し掛かる。
男が夢の入り口付近をさまよっているあいだに、坂の勾配はどんどんときつくなってゆく。
男は自分の身体が次第に後ろに傾いてゆくのを感じる。この高速にこんな急な坂道があっただろうかと夢うつつに思う。
運転手がアクセルをぐっと踏み込んだ。
エンジンは猛々しい唸り声を上げ、四つのタイヤはアスファルトを強かに蹴る。
鞭を打たれたタクシーは、ぐいぐいと坂道を登ってゆく。
いつのまにか高速道路は、ほぼ垂直になっている。
男はもう完全に目を覚ましているが、重力で座席にはりつけにされていて、まるで身動きが取れない。
なんとか首をねじって窓の外を見ると、遙か彼方に旅客機が飛んでいる。
男は頭の中が混乱してしまい、もはや声を発することもできない。
ご心配なく、もうじき着きますからね、と運転手は男を気遣うように言う。
男がルームミラーを見ると、骸骨が笑いかけている。
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