このまま病院のベッドで息絶えれば、
後は、もれなく火葬されるわけじゃろ？
そんなのは嫌じゃ。
灰になるだけじゃあないか。
わしは森で死ぬんじゃ。
動物たちに食われ、彼らの血肉となり、
微生物に分解され、土へと還る。
春になれば、草花として、
再びこの世に生まれ変わるのじゃ。
なにバカなこと言ってるの。
母さんがたしなめる。
まだまだ長生きしてもらわなきゃ。
だが。
じいちゃんは宣言どおり、病院から脱走した。
ふらついた裸足の足あとは、森の方角に消えていた。
数日後。
夜中に冷気を感じて目が覚めた。
枕元にじいちゃんが立っていた。
びっくりした。
お、お帰りじいちゃん。
足が無い。
わしはここじゃ。
え？
しわくちゃでいて、透き通るほど青白い手。
ラクラクホンの画面を指差している。
GPS機能で、ある地点が表示されていた。
わしはここじゃ。
頼む。火葬してくれ。
森の夜は寒いんじゃ。
じいちゃん……
動物たちの血肉となり――
とか言ってなかったっけ？
……。
毒入りのエサは要らんと言われてな……
匂いで分かるんだと。
身体中に蓄積しとるらしいわい。
多種多様な毒物が。
じいちゃんは悲しげな表情でそう言うと、
夜の闇に溶けていった。
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あ〜あ。
もう、パンダみたいに笹だけ食ってゴロゴロしたいよ。
なんか、人間臭い幽霊ですね(^^
意図しないところだったら、ごめん。
「蓄積している多種多様な毒物」にギクッとしました。マグロとかカツオが好きなんだけど、水銀含有率が高いんだもの。マグロなんて、妊婦は週一程度の摂取にとどめるよう、いつか国の通達がありましたっけ。
それに、GPSを使ってお知らせするなんてなかなかハイテク＾＾
亡くなってからもラクラクホンを手放さないところとか、なんだかかわいい♪
＞もう、パンダみたいに笹だけ食ってゴロゴロしたいよ。
かわいいコメントだなぁ(笑)
iaさんはゴロゴロが似合いそうだ。
こたつとかもね＾＾
つるさん＞
こんばんは☆
まったくもって素です。そこは(笑)
なんか残留農薬とかさ水銀とかさ、
たぶんもう沢山沢山身体に入っちゃってるよね。きっと。
動物も不味くて食わねぇんじゃないかと思いまして。
マグロとカツオ。僕も好きだ(汗)
naenaさん＞
こんばんは☆
じいちゃんなかなかやりますよね(笑)
ラクラクホンの部分は少々悪ノリしてしまいましたねぇ＾＾;
でももし自分が死んで 幽体離脱して 自分の体がいろいろな生き物に食べられているのを見るのは。。。 考えるだけでもちょっと怖すぎる！(>_<)
こんばんは☆
最近ちょっと長めの話が続いたので、
箸休めに軽ーいヤツを書いてみました。
うわー、たしかに見るのはやだなぁ(笑)
でも火葬で空気に紛れるくらいなら食われた方がよくないっすか？
あれ？ 俺だけ？？
ウチの舅さんが同じようなことを常日頃から言って、周囲の人間を困らせています。
「でも現実こんなもんだよなぁ。ちょっとジイサンかわいそうだなぁ。」って思いました。
人生の終わりくらいすきにさせてあげたいのですが、世の中も難しくなってしまったんですよね。
この話以外も、これからいろいろ読みたいともいました。ありがとうございます。
こんばんは。はじめまして。
コメントありがとうございます。
舅さんの気持ちも、分からないでもないですよね。
現実には、なかなかね、自ら望むような死に方は難しいのかもしれません。
更新は滞りがちですが、今後もよろしくお願いいたします＾＾
せっかく食物連鎖のことを考えて行動したのに、
なんだか切ない結果になってしまいましたね（＾-＾；）
突然登場した「GPS機能」のギャップがおもしろかったです！
ラクラクホンのGPSに影を出せるとは！
意外性がとても面白かったです。
じいちゃん、残念！
まさか動物に拒否されるとは。
そこまで考えてなかったんだろうね(笑)
しかも孫に火葬してくれって頼みに来るなんて相当寒いんだろうねぇ。
早く見つけてあげてくださーい。
こんばんは。
やはり土に還る死に方は簡単じゃないすね(笑)
GPS機能は悪ノリで付けたしちゃいました＾＾
銀河系一朗さん＞
こんばんは。
風刺ネタはわりと書きやすいですよねー。
ただありきたりのオチになってしまうのがなぁ……
なかなか驚天動地の結末ってのは見つからないもんですね(笑)
舞さん＞
こんばんは。
最近朝晩めっきり寒くなってきたから、
夜の森はヤバイっすよね(笑)
ラクラクホンのおかげで見つかるとよいのですが……＾＾;
このショート小説は面白かったです。
特に、最初はちょっと悲しい話でしたが、
途中はいきなり笑ツボが出てきて、
不意に笑っちゃいました。
ところで、私が翻訳者を目指しています。
このショート小説を北京語に訳したいですが、
このブロクの小説を私のブロクに転載してもいいですか？
もしOKでしたら、
私にメールを下さい m（−＿−）m
PS。中国語のひとつ、日本の標準語の東京弁みたいの言語です。
こんばんは。コメント謝謝です＾＾
楽しんでいただけたようで、とても嬉しく思います。
さて、転載の件です――
私の小説は、ネット上で広く公開しているものの、
個人的なアイデアメモのようなものでもあります。
実は、あまり公開先を広げたくない。というのが本音です。
ですが、今回こうしてバスゲまる様に訪れて頂けたのも何かの縁ですので、
この作品「火葬」に関してのみ、転載して頂いても構いません。
(できればトラックバックを送信してください)
それでは、今後とも当ブログをどうかよろしくお願いいたします☆
あれだ、こんな葬法はどうだろう。
全身にM67手榴弾を装備して点火。
「爆葬」
たーまやー。
こんばんは。ようこそ！
相変わらずツッコミどころ満載でしょ？(笑)
爆葬……
後始末が超大変そうっすよね（；´д｀ ）
なんてマジレス失礼ｗ
人間の身体というのは、確かに
穢れまくって＆汚れまくって
一種の細菌・病原体の固まり
動物たちも腐肉喰いの猛獣たちでさえ、
人体 などという、一種の細菌兵器なんぞ
お断りなんだろうな
追記 鬼附子（おに・ぶす） とは、トリカブトの毒の別名
じいちゃん、イケメンじゃなかったんだろうな 鬼ぶさいく＝鬼ぶす じゃ、
犬もくわないよ