おすすめ作品

  「JP」 「糸電話」 「逆向き」 「締め切り」

  ショートショート全作品目次へ


「最後の男」


よもや僕が、地球上に残された最後の男になろうとは――

だがリカルドは、悲観することもなく、わりと気ままに毎日を過ごしていた。

電気は屋根に取り付けたソーラーパネルから供給されるし、

食料や飲料水は捨て置かれたショッピングモールに行けば売るほどある。

(もちろん売る相手はいないのだが……)

リカルドはこの日も部屋で一人、カウチに座り、

録り溜めたテレビ番組をヴァーチャスコープで楽しんでいた。

うあっははは!

こいつは傑作だ! ははっ、はっ、はぁ……

リカルドは肩を落とした。

そりゃあ、ときおり寂しくなることもある。

家族との団欒を思い出したり、恋人のマリアのことを考えてみたり。

リカルドは力の無い手つきでヘッドフォンとスコープを外した。

その時。

ノックの音がした。

また来たか……。

リカルドはゆっくりとドアに歩み寄る。

そして、その上で這いつくばった。

「リカルド、いい加減になさい」

床に埋め込まれたドアの下から母親の声がする。

「あなたもさっさとこっちの世界へ来なさい」

「嫌だね。僕が暗い場所苦手なの知ってるだろ」

「リカルド。あなた紫外線に焼かれて死んでもいいの?」 

「暗さに怯えて死ぬよりはいいね。それに防護服だってあるんだから大丈夫さ」

ふう、と母親の重たいため息が床に響いた。

「いくら室内だと言ってもね、紫外線は入ってくるの。

だから世界中の人々が地下に潜って暮らしているんでしょ。

ねぇリカルド。いい子だからママの言う事を聞いて」

「嫌だ」 リカルドは寝そべったまま首を横に振った。

「世界中見回しても、もうあなただけよ。

地上に残っているのは。お願いだから早く降りてきて……」

近年。地上に降り注ぐ紫外線の量が急激に増大した為、

人類は皆。地球下に避難してしまった。

もはや地球上に残っているのはリカルドだけだった。

「前向きに検討しておくよ。ママ」

リカルドは下を向き、小さくそう言った。












ショートショート:目次へ





この記事へのコメント
「あっ、ザ・ラストマン・オン・ディ・アースかー どうくるのかなー??」と筋を追っていきました。 名前からするとメキシコが舞台でこれまた太陽光線ギラギラ地帯。 

SF作家の人たちは絶対一度は書いたことあるだろう設定をレイバックさんは文字通り”地球上では最後の男”にしたのですね。 
”アイアムレジェンドよりずっと可能性高いですね。(笑) これ将来あり得ますよね。
今すでに、日本の女性は焼けたくないから地下にもぐりたいんじゃないかな?(^^) 
Posted by juny1 at 2008年10月12日 07:35
これ、面白かった!
「地上の」が利いてたわ。
紫外線といえば、
ついこの間まで夏目雅子がビーチを疾走してた気がします。いや、かなり前だから。
その気になって、ブロンズ美人気取ってました。
もはや、死骸線なのね。
Posted by つる at 2008年10月12日 23:18
今回は正統派ですね♪
リカルドの雰囲気がオチにぴったりで、
さすがに上手いなぁ、と思いました。
ラストも意表を突かれて、面白かったです(^^
Posted by ia. at 2008年10月13日 00:46
オチ、いいですね^^
地下ではすっごい都市を築いてるんでしょうね。
タイトルと、地球「上」に、で、
すっかり騙されてしまいました!
Posted by naena at 2008年10月13日 12:43
なんだか危機迫るものがありますね。
ドアを開けると下なんですね。
初め「?」って思いましたが納得。
地球の上で暮らすんじゃなくて
中に入ってしまっているわけなんですね。
覗いて見たい気がします。
Posted by at 2008年10月13日 22:02
人類滅亡の話ではない、とは思ってましたが……
このオチは読めませんでした(^-^;)

この主人公の気持ち、なんとなくわかります。
ぼくも太陽の光をずっと浴びずにいたら、
気が狂ってそれで死んでしまいそうです(笑)
Posted by shitsuma@管理人 at 2008年10月13日 22:48
いや、↑のコメントの名前ですけど
本当に狙ったわけではないんですよ!(汗)
「書き込む」ボタンを押してから気付いて
慌てて「戻る」ボタンで引き返そうとしたんですけど遅かったです……。

もうコレで3度目です……スミマセン……。
Posted by shitsuma at 2008年10月13日 22:53
Juny1さん>
ども!
おお。さすがSFがお好きなだけありますねぇ。
(僕は実はあまり得意でない分野なんですが)
そうですね、舞台は中南米を意識してみました。
このネタは、ぱっと思いついて、すぐに書けたのですが、
ひょっとすると、もう既に誰かが使ってるオチかもしれませんね^^;

つるさん>
こんばんは。ありがと!
夏目雅子はねぇ三蔵法師のイメージしか無いんだよなぁ。俺。
でも写真で見るとすごいキレイな人だよね。
てか死骸線言うなw
よし、つるさんはブロンズ美人なんだね。
軽く。イメージを修正しといた(笑)

iaさん>
こんばんは。
仰せの通り。久々にショートショートを書いた気がします。
まさに看板に偽りありのブログ……
でもさ。ショートショート的な話って難しいよねー^^;

naenaさん>
こんばんは。
ありがとうございます☆
地下帝国築いてそうですよねー(笑)
地球「上」
もうほんと、そこ一発勝負のネタなので、
必死にバレないように書きました^^;

舞さん>
こんばんは。
そこなんですよね。
床に設置されたドア。ってモノを、
想像してもらえるか? 
そこがキーだったかもしれないすね。
アレ? って思ってもらえれば成功なんだけど。
上、下という言葉の概念で遊んでみました^^

shitsuma@管理人さん>
こんばんは(笑)
よし。では折中案として、このブログ。
二人で管理しますか!
( ´艸`)
いつも笑ってしまいますわぁ。
鉄板コメント過ぎてズルイ!w

これね、鋭い人には一行目でバレそうですが、
意外に皆さん騙されてくれたようでホッとしてます。
僕、暗過ぎるの苦手なんですよねぇ。
寝るときは平気ですが、薄暗い部屋とかね。
また密かに四度目も期待してます^^




Posted by レイバック at 2008年10月14日 00:26
皆様のコメントを読んでやっと気づいた私…


↑↓の言葉に弄ばれたならまだしも、真剣に温暖化の話だと思ってました。

Posted by ポン at 2008年10月16日 17:31
ポンさん>
こんばんは。いつもありがとうございます。
あら、そっかー、もうちょっと分かりやすく書かないと、
「床のドア」をイメージしてもらえないかも。とは思ったんですよ。
スミマセンですー^^;
Posted by レイバック at 2008年10月16日 23:26
いえいえ。
もし私にも分かるように書いちゃゥと常連サマにはマルバレって感じになっちゃいますよ(笑)
自作も楽しみにしてます★
Posted by ポン at 2008年10月17日 13:05
ポンさん>
ありがとうございます☆
マルバレ(笑) それもありえますね。
ほどよいラインを模索しつつ書いてみますね。
次作の構想は……

まだアリマセンがヾ(´▽`;)
Posted by レイバック at 2008年10月17日 23:19

初めてコメします

いつもいつ更新されるのかとワクワクしています><

これからも頑張って下さい
Posted by カナリア at 2008年10月20日 03:50
カナリアさん>
こんばんは。
嬉しいコメントありがとうございます^^
なかなか更新できなくて、ほんと申し訳ありませんです(泣)
もうしばらくお待ち下さいね。
今後もよろしくお願いいたします☆
Posted by レイバック at 2008年10月20日 22:23
はじめまして。
ブログ村から遊びにきましたー。
オチが素敵すぎですね。
「甘い誘惑」もウルっときました。
また新作読ませてくださいね。

Posted by ゆきこ at 2008年10月21日 10:20
ゆきこさん>
こんばんは。はじめまして。
コメントありがとうございます^^
「甘い誘惑」は、久々のイイハナシ系だったので、
評判が良かったようです(笑)
ぼちぼちとマイペース更新ですが、
また遊びにいらしてくださいね。
どうぞよろしくお願いします☆
Posted by レイバック at 2008年10月22日 22:03
レイバックさん こんばんは〜☆
すごーーーっくご無沙汰してしまいごめんなさーい。。。
やっと個展が終わってほっとしているところです♪
そっかぁ〜地球(上)と地球(下)だったんだー♪
だまされた〜>。<
滅亡系かと思っちゃいました☆
Posted by らに〜た at 2008年10月23日 18:50
らに〜たさん>
おはようございます☆
個展、無事終えられたようで、お疲れ様でしたー^^
見に行きたかったなぁ。
またブログの記事をゆっくり読ませていただきますね。
(それで行った気になる(笑))
これはシンプルなオチですよね♪
Posted by レイバック at 2008年10月25日 06:31

 ブラックエンペラー最後の 妄想族 として

 オレは総長の亡骸を埋葬した
 
 丁重に 「七代目…」

 オレは”七代目名誉総長”との明るく、楽しい日々を思い出していた

 総長は身体はデカいけど、肝っ玉の”ちっこい”、みみっちいチンピラだった

 いつも総長は甘いものに目が無くて、オレをパシリに

 虎屋の羊羹(それも、芋羊羹が好きだったな 他のモンだと「こんなの食えるか」と激怒)

 新宿・高野フルーツパーラーで、二人して「どっちがいっぱい食べられるか」なんて

 妄想族:ブラックペッパー じゃなくて ブラックエンペラー の俺らが、

 特攻服着たまま、甘いもんにむしゃぶりついてたな オレもけっこう甘いもんには

 目が無かったけど、七代目の甘いモン好きには「敵わなかった」

 七代目と来たら、抗争中でも

 「おい、スウィーツ食べたくなった 誰か買ってこい」

 なんて余裕かましてた すげぇ総長だったよ そこらへんのコギャルも

 「うっそー、勝てない なんでぇー?」

 とか目ん玉飛び出していたな 本当に コギャルが一気にゾンビになってた


 七代目名誉総長なだけはあったなぁ うっかじしてたよ

 あの人は心の底から、美女とか美少女なんかメモはしても 目もくれなかったな

 代わりに 甘〜いスウィーツには 目が無かったな

  最後に…


 総長、あの世で どこの甘味処行きますか?
Posted by ラスト・エンペラー吉田 at 2016年11月16日 17:54
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック


×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。