フェスに来るのは全くの初めてだった。
音楽好きの友人や彼女のいない僕はもちろん一人きり。
でもぼっちでもなんでもいい。いい音楽が聴ければそれでいいのだ。
Perfumeのステージを観終え、次はOzzyかJay-Zかとぶつぶつ呟きながら歩いていると、いつしか僕は深い森の中に迷い込んでいた。
方向感覚を失った僕は、けもの道が森の出口に続いていると信じて、ひたすら歩き続けた。
ん? なにやら前方から音楽が聞こえてくる。
僕は足を止め、耳を傾ける。
この曲は――
ボヘミアンラプソディ! 興奮した僕は音のする方向へ駈け出した。
凝りに凝ったオペラ調のコーラスが次第に迫ってくる。
と、突然視界が拓けた。
木々に囲まれた広場の中央に、紅白幕で覆われたやぐらが組まれている。
何本ものスポットライトが注がれた舞台の上ではゴージャスな衣装を身に着けたフレディマーキュリーが熱唱していた。
おそらく僕はあんぐりと口を開けっ放しだっただろう。
よく見るとフレディの周りにはジョンレノンにジミヘンドリックス、ジェームスブラウンにマイケルジャクソン、なんと忌野清志郎までいる!
みな笑顔でマイクを握り、観客たちの呼び掛けに気前よく手を上げて応えている。
ジミヘンに至っては騒ぎ立てる観客の頭をめがけ、手裏剣のようにピックを浴びせかけていた。
ジミのアナーキーな芸風に思わず笑ってしまう。
その時だ。1枚のピックがきらきらときらめきながら僕のもとに飛んできた。
とっさに手のひらでキャッチする。顔を上げるとジミが僕に向かってばちりとウインクをした。(ように見えた)
僕は願っても観る事の叶わなかったスーパースター達の夢の共演に熱狂し、夜通し酔いしれた。
遠くから声がする。誰かが僕を呼んでいるようだ。
目を開けると、知らない顔に囲まれていた。
「あれ? ジミヘンは?」
「何言ってるんだ。君は森の中で倒れてるところを見つかったんだよ」
「ここはどこですか?」
「救護テントだ」
僕は半身を起こし、凝り固まっているこぶしを開いた。
そこには1枚のピックが握られていた。
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それにしても豪華な競演!
ビデオに撮ってYouTubeに流してくれたら、さぞアクセスが……バチがあたるか(笑)
ラストのピックが粋でした。
yahooオークションに出したら、さぞ高額に……(笑)
こんなフェスあったら行きたいよね!
今年もどっかにスティーヴィーが来てたんだよなぁ。
機会のあるうちに観とかなきゃなんだけどなかなか……。
そういやコンサートグッズとかなら実家にたくさんある!
歌もの、好きじゃないんですよね
インスト系☆大好き♪
歌ものって、○が▽で◆だから◎で…て
「どうでもいいこと、歌詞にして、、、聞きたくないってば」
まぁ、趣味の問題と思いますけど
メロディだけでOK!
⇒歌もの、インストにすると「お!けっこうナイス♪」て感じで
そんな感じの 歌もの が割と多い
「ボーカルが邪魔だな」て感じの曲ですね
〜ボーカルが抜けると、とたんに良い曲になったりする