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「皇居ランナー」


 落陽が放つ橙色の光線を浴び、きらきらと光る汗。
 帰社の途に就く我々の真横をランニングシャツにショートパンツ姿の人々が途切れることなく走り過ぎてゆく。
 
 およそ東京のビル街には不似合いな人種との接近遭遇に、私は目がくらみそうになる。
 だがそれも、国中が健康ブームに湧き立つこの頃では、見慣れた光景となりつつあった。

「今日はまたいつもにまして皇居ランナーが多いですね」

「夕方だと言っても、まだまだ暑いのになぁ」

 私はそう言いながら額に噴き出してくる汗をハンカチで拭う。

「この人達って、ひたすら皇居の周りをぐるぐる回ってるんですよね。飽きないのかな」

「まぁ他に走りやすい場所がないからしょうがないんだろ」

 翌朝。皇居の側を通りかかると歩道が妙にべとついている。

 なぜだろう?

 私はしゃがみ込んで匂いを嗅いでみた。

 バターのいい香りがした。














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この記事へのコメント
うふふ。
こんなに暑いと溶けますよねぇ。
私もバターになりそう。
これもきれいなオチですね。
しかも文学風のシュッとした文体でこのオチだったので笑っちゃいました(^m^ )

『ちびくろサンボ』って、黒人差別とかいって一度絶版になったんですよね。
たしか『図書館戦争』にそんなくだりがありました。
人権への配慮なのか、行き過ぎの検閲なのか。
私としては過剰になりすぎて面白い話が読めなくなるのは嫌だなぁ。
ごめん。また脱線しちゃった(>人<)
Posted by ia. at 2010年08月21日 00:54
ia.どん>
こんばんは。
まったく連日の暑さで溶けますよねぇ。
文学風というかいかにも無理やり付け足した感のある冒頭ですよね(笑)

そうですねぇ。
とにかく過剰な検閲や言葉狩りは創造物の可能性を潰しますから、
クリエイターサイドの人間としては反対するしかないですよね。
脱線いつでも大歓迎っすよw
Posted by レイバック at 2010年08月22日 00:22

 こんにちは、3時の「おやつ」の時間ですよ
 おやつ代わりにバターは如何ですか?   なめらかなバターで舌触りも良さそうですよ
 味も、きっとマイルドなんでしょうね  午後のティータイムにも合いそうですね

 ビニールのブックカバーの本を読みながら、「お茶」を楽しむのもいいかもしれませんね
 ビニールのブックカバーの本だから、つい、バターを本のページに「こぼしても」
 すぐ、なめたりすれば大丈夫でしょう 犬みたいに四つん這いになって、必死にバターを
 なめるんです どんな感じかなぁ、マイルドでなめらかなバターの舌触りは…

 ビルの散光(落陽がビルに反射した光)は、何とも言えない印象が残るものです

 皇居ランナー? 国粋主義か天皇家崇拝信者の新興宗教徒の行進みたいで不気味です
 途中で何回か 王朝交代 してるくせに  渡来人の「外人大王」のくせに

 天皇家て、遠く異国の地から「絹の道」を通って、この倭国の島に渡来した外人…

 「閣下(デーモン小暮)」「殿下(ダミアン浜田/ルーク篁/ゼノン石川)」は皇居にて
 如何お過ごしでしょうか?

 正式名:平成京 では何でも2020年に、トンキン五輪なるイベントが開催されるようです
Posted by バター犬 at 2016年10月25日 15:29
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