家に帰ると猫のミーコが相方にじゃれついている。
君たち相変わらず仲いいね。さぁごはんだよ。
そう言うと、ミーコは自分専用の皿の元に、てくてくと歩いてくる。
ミーコから解放されたルンバはやれやれといった様子で自分のホームに戻ってゆく。
ミーコに餌が必要なように、彼にも充電が必要なのだ。
猫のミーコと自動掃除機のルンバは大の仲良しである。
熱心に職務をこなしているルンバをミーコはいつも追いかけ回す。
ある日ルンバの調子が悪くなったのでメーカー修理に出したところ、なんと新品交換となって返ってきた。
ルンバが綺麗になってよかったね。わたしは言う。
ところがミーコは不思議と見向きもしなかった。
新ルンバは微かな作動音を発しながら部屋を掃除して回っている。
ミーコはわたしのとなりでソファの背もたれに身を預けている。
ときおり窓の外を眺めては寂しげな表情を浮かべる彼女の横顔を見ていると、わたしは胸が苦しくなってくる。
ミーコにとってはやはり「あの」ルンバでないとダメなのだ。
わたしはルンバのメーカーに問い合わせた。
幸いまだあのルンバは廃棄されずに残っているという。
わたしは事情を説明し、なんとか彼の修理をしてもらうことにした。
二週間後、送り返した新ルンバの代わりに、あのルンバが帰ってきた。
筐体の上についたミーコの無数の爪あとも、甘噛みしすぎて剥がれかけたステッカーも、もちろんそのままである。
電源OFFのままミーコの前にルンバを置いてみた。ミーコは首を傾げながら彼の様子を窺っている。
やっと状況を理解したのか、ミーコはてくてくとルンバに近づいてゆく。
ミーコは前足でルンバの筐体をぎゅうぎゅうと押し始めた。まるで心臓マッサージでも施すように。
わたしはなぜか目頭が熱くなってしまう。
ミーコはひたすらルンバにマッサージを続けている。あのきまぐれな猫がだ。
わたしはミーコの頭をそっと撫でてやり、ルンバのスイッチをONにしてやった。
緑色のインジケーターがすぅーっと光り、ルンバは息を吹き返した。
さっそく床掃除を始めるルンバの姿を見てミーコはきょとんとしている。
やがてミーコはいつものようにルンバを追いかけ始めた。
追うミーコに逃げまわるルンバ。見慣れた構図に思わず頬がゆるむ。
さて。わたしは夕飯の支度を始める。おっと。ミーコの餌も用意してやらねば。
ミーコ、ごはんだよ。ミーコ。
何度か名前を呼んでやっとミーコはやってくる。
奥の部屋をちらりと覗く。
ミーコから解放されたルンバはやれやれといった様子でホームに戻っていった。
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あの円盤状の自動掃除機に対するニャンコ「ミーコ」のストーカーのような熱い愛。
代わりの彼ではだめだというひたむきさ。
そして瀕死の彼への懸命な救命措置。
「全米が泣いた」という帯文は嘘ではないでしょう(笑)
ありがとうございますー。
全米も泣いちゃいましたかw
以前にルンバに載ってる猫の動画を見たことがあるんですよね。
それがいまごろネタになるとは(笑)
ボクの妻が欲しいって言ってたお掃除ロボですね!
安い!って思って、よく見たらそっくりの全然違うチープなメーカーのも
売ってました(笑)
あれ、便利ですよね、絶対。
でも、前に電気屋さんで聞いたら、色の濃い床には反応しないって言われたんです。
で、ウチの床はこげ茶色なのでダメだと諦めてたんですけど、なんか最近、そういうことが
改良されたみたいなんですよ。
と、ルンバの話題だけ書いてしまいましたが、猫の自然な描写がいいですね。
猫好きの人の心をくすぐります。
あ、そんなこんなで、実は、競作企画を立ち上げてみたんです。
参加していただけたらうれしいです。
よろしくお願いします!
こんばんはー。
ルンバ欲しいですよね!
けっこう改良されてて調子いいって聞きますもんねー。
いやー欲しいなぁ。ねこたんも欲しいなぁ。
>競作 さっそく書いちゃいました。てへへ
このコメントを書いている横で、うちでもルンバと”ミーコ”が「じゃれ合い」を…
ルンバには餌を ミーコには充電 そろそろかな
猫の名前が「ルンバ」で、お掃除ロボの名前が「ミーコ」♪
お似合いの Lovers ですね
こういう Lovers の日常ストーリーも、なかなか良いですね
”ホモ・サピエンス”のLoversより、全然、爽やかなストーリーと思います
読後の後味が、サッパリとして妙に”清々しい”んですよね
ショートショート☆らしい、全世界に発表してもらいたい「ノベル文学賞」です
「ノーブル文学賞」とも言えますね☆
…ノーベル賞? 殺人兵器:ダイナマイトのA・ノーベルが贖罪として作った「賞」
今では、ノーベル財団の 脱税対策&偽善&売名行為 もう存在意義:レゾン デートルが
全く無い 政治的パフォーマンスの道具 ですね
受賞なんか不名誉極まりない!
賞なんか無くても、それぞれの価値は変わらない☆