薄暗い部屋で、わたしはベッドの上に横たわっていた。
カーテンのわずかな隙間から風に舞う枯葉が見える。
この手で触りたい……。
でもそれは叶わぬ願いだった。
得体の知れないあの男に身体を拘束され、手足は自由に動かす事ができない。
この状態では、自ら鍵を開けて外へ逃げ出すことは不可能だった。
部屋の中は荒れている。
床には物が散乱し、壁や柱には無数の傷があった。
食事は与えられているものの、一日一食、あとは水だけだ、
鏡を見なくとも、あばらが浮いてきているのが分かる。
ここへ閉じ込められてから、もう数ヶ月が経つ、
時間や曜日の感覚も、とうに無くなっていた。
もう二度と母と会うことも出来ないのかと考えると、
切なくて涙がこぼれそうになった。
なす術も無く、悲しみの淵に沈んでいるうちに、
眠りに落ちてしまったようだ。
気付くと、部屋の中は真っ暗になっていた。
今は何時くらいだろう?
カーテンの隙間を覗こうとしたその時だった。
ガチャ。
鍵を回す音がし、玄関のドアが開いた。
わずかに外気が感じられる。
アイツが帰ってきた。
緊張し、無意識に身体に力が入る。
リビングの電気が点けられ、
床を軋ませながら近付いてくる足音が、
ぴたりとベッドの側で止まる。
一瞬の間のあと、青白い両手が怯えるわたしを抱え上げ、ソファーへと連れて行った。
生温かい息と共に、能面のように無表情な顔が近付いてくる。
男は冷たく微笑み、わたしの頭を撫でながら耳元で囁いた。
「いい子にしてたかい? 子猫ちゃん?」
私は恐る恐る首を上げ、かすれる声で答えた。
「ニャーオ」
首輪に付けられた鈴の音が、小さく部屋に響いた。
ショートショート:目次へ
タグ:ショートショート
ふう。今回は騙されませんでしたよ。題名にドキッとさせられましたけれどね。
騙されたといえば<逆転ホームラン>です。題名とその内容のギャップ。
おばさんとはいえこれでも昔は若い女性Hネタは苦手です。用心用心。
今回は題名のつけかたの意外性を勉強させてもらいました。
これはベタですもんね^^;
初めて読んだ人なら騙されてくれるかな?
結構下ネタ系も紛れてるので
気をつけて下さいねー(笑)
複雑です。読み手に託しましたね?
どちらに取るか…。
私にはこわい。
…深読みし過ぎですか?
さぁどうでしょう?
筆者は・・・
実は何も考えてませんでした(笑)
考えすぎ考えすぎ(笑
ならあくまでもサラリと。
いえ読んでくださる方の中で
物語が出来上がれば、僕の意図は
どうでもいいと思ってます^^
藍さんは想像力豊かですよね☆