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「オン・ザ・ロック」


わたしは、満天の星空の下、

テラスに置いたロッキングチェアの上で、揺られていた。

眼下には、漆黒の大海原が果てしなく広がり、

ざわめく波間をすり抜けてくる風は、

無言のまま、わたしの耳元を通り過ぎてゆく。

カラン。

乾いた音が鳴った。

左手に持つグラスの中身が溶けてゆく音だ。

ふわりと浮かぶ球に、人差し指でそっと触れてみる。

カラン。

再び空虚な音がテラスに響いた。

こんどは口笛を吹くように、

フッと息を吹きかけてみる。

わずかばかり形を残していた氷の欠片は消え去った。

わたしはグラスに浮かぶ地球を、静かに眺める。

これで北極は完全に消失したようだ。

海面は更に上昇し、

今宵、キリバス共和国はついに水没した。











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この記事へのコメント
タイムリーですね!
他国への移住なんて簡単じゃないですよね(;′Д`)ノ
現実は深刻なんですけど、お話は素敵でした・・
Posted by タケシ at 2007年09月08日 01:14
タケシさん>
タイムリーでしょ?(笑)
いやいや笑い事じゃないですよね、
実際には近い将来に起こりうる事ですもの。
色々と考えさせられます^^;
Posted by レイバック at 2007年09月09日 00:28
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