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「年金財政」



「総理、本気ですか?」

「エエ、国の事を考えればやらない訳にはイキマセン。

たとえ反感を買おうともネ」

「し、しかし、5%から13%へ一気に増税となれば、

内閣支持率の低下は目に見えています」

「では、どうしろと言うのデス?

年金財政が破綻するのを手をこまねいて見ていろ。

とデモ? アナタに何か対案があるのデスカ?」

「そ、それは、」

「国民の皆様にも、ある程度の痛みは我慢してイタダク。

そういう約束でワタシが招聘された。そうではないのデスカ?

それはアナタにも十分わかっているはずダ」

「しかし、これ以上、国民の――」

「もうイイ! 子供のように感傷的になるのはやめタマエ!

日本人の悪い癖ダ!」


 * * *


「ふっ。ガイジン総理のお手並み拝見と思えば、このザマとはね」

「まぁ、誰が総理でもこの状況は避けられなかったかも知れませんがね」

「おたくも災難ですな」

「いや、あなたこそ」

「もうご家族にはお別れを?」

「いえ、昨年、家内が癌で他界しましてね。

子はおりませんし、私は独り者なんですよ」

「そうですか。私は息子夫婦と妻に泣かれましてね。

さすがに参りましたが、お前達の老後が保障されるのならば、

私は喜んで逝こう。そう言ってきましたよ。

まぁそれで更に泣かれましたが。フハハハハ」

「それはそれは剛毅なお人だ。

私も家内の元へ行けると考えれば、

恐れることは事はない、と自分に言い聞かせています」

「若者や子供達のためなら、私たち老人が犠牲になるのも

仕方ありませんな。とにかく日本男児らしく立派に散りましょう」

「子孫のために」

「子孫のために」


 * * *


「総理! 国民の血税ですよっ!?」

「総理! 一言お願いしますっ!」

「Sorry、ノーコメントだ」

「総理――」










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この記事へのコメント
日産のカルロス・ゴーン氏のように
外から持ってきましたか。

早期退職のように希望者を募って
年寄りは姥捨て山に捨てられるのですね。
悲しい。
しかも深刻な時事問題取り上げて
意味深な作品だな。

考えさせられちゃった。だって
実際の団塊さんたち以上の世代は
これから楽しもうと
思っている人ばかりですもん。

ああ。そうか。だからショートショートなんだ。
ウマイ!
Posted by つる at 2007年11月18日 00:15
つるさん>
こんばんは。
見通しの甘い社会保障政策のツケが、
ここ数年、一気にキてますよね。
長年税金や年金を払い続けてきた人は、
それだけで老後の安定した生活を
保障される権利があると思うのですが、
現実には医療費や保険料を払えずに、
自宅で孤独死、餓死する人も多いですし。
今まで日本が日本人が歩んできた道のりは
なんやったんやろう?って情けないですわ。
団塊の世代・・・・・・。自分さえ良ければ、
って人も多い世代ですよね。なんだかなぁ。
この国はどこに行くのやら、と、
暗澹たる気持ちになるのです。
時々は、そんな気持ちを吐き出すように、
風刺的なお話を書いていこうと思います。
暗くなってスミマセン^^;

Posted by レイバック at 2007年11月18日 00:37
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