ずっと、両親に合わす顔がなかった。
長い間、連絡先も知らせず、日本中を放浪していたからだ。
今回、実家の門をくぐるのは、じつに七年ぶりだった。
人並みに、不義理を申し訳なく感じていたわたしは、弟夫婦に仲介を頼んだ。
彼らに先導されながら、両親の待つ部屋へと向かう。
三人とも黙りこくったまま、静かに廊下を進んだ。
空気がピンと張り詰め、緊張感が高まる。
歩みを止める。和室の障子は開いたままになっていた。
両親はきっと部屋の奥に座して待っているのだろう。
入口からその姿は見えなかった。
わたしは弟夫婦に頷き、大きく息を吸って足を踏み出した。
その時だ。
足下からものすごい勢いで、板が飛び出してきた。
全く予期していなかったわたしは、片足を上げたまま、その場で凍りついた。
木製の板は、わたしの前髪をかすめて、頭上でピタリと止まった。
かろうじて上の隙間から部屋の天井が覗いている。
もし、もう一歩、わたしの足が前に出ていたら――
この身体は、股間を境に、真っ二つになっていたに違いない。
危なかった。
わたしは目の前に突如現れた壁に向かって呟いた。
この家は、敷居が高すぎる。
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びっくりしました〜
家が自分を拒んでいるのか、
自分の心理が家を拒んでいるのか、
考えてしまいました。
どこにオチるのか、予測不能ですね(笑)
どんだけ高いんだとか、カラクリ屋敷かよとか、
ツッコミどころも満載だ〜。
初め意味がわからずに2回読んじゃいました。
私の読みも衰えた……(笑)
そこまで拒否られましたか。
って言うか親がわざわざこのために細工したとしたらお見逸れしやした。
よっぽど怒ってるんだろうね(汗)
この主人公だけでなく、誰でも実家を離れて好き勝手してると、こんな気持ちになりますよ。
敷居を高くしているのは、あちら側ではなく、自分の心の持ちようにあるって思いました。
考えさせられる作品でした。
こんばんは。
強引な展開でスミマセン^^;
自分の負い目もあるでしょうし、
親も怒ってるのかもしれないですね(笑)
iaさん>
こんばんは。
ハイ。豪快にいってみました(笑)
忍者屋敷みたいですよね^^
舞さん>
ども!こんばんは。
二度読みさせてゴメンナサイ(笑)
ほんまに仕掛けなのか、心理的に見えただけのか。
僕自身あまり考えてなかったですw
最後で???の人も多かったかもしれないすね^^;
鯨さん>
こんばんは。
なるほど!敷居が怒りゲージになっていると。
その設定イタダキ(笑)
つるさん>
こんばんは。
きっとそうですよね。
親も怒ってるかもしんないけど、
自分自身の申し訳ないという気持ちが、
そんな映像を見せてるのかな……
って俺マジメにレスしすぎ(笑)
上方にわずかに残された、その空間を乗り越えれば良かったかもしれませんね。
あ、敷居を踏むのもマナー違反か。
ん? この場合、敷居を踏んだことになるのか!??
関係ないコメントで申し訳ない↓
こんな感じでコミカルに解説してくれたら
小中高のころに慣用句を覚えるのが
もう少し好きになったかもしれないです(笑)
こんばんは。
にゃははw強打すると悶絶ですもんね(笑)
そうそう敷居って踏んだらダメなんですよねー。
そんな事あんまり意識してないんですが^^;
shitsumaさん>
こんばんは。
今回は国語の時間でしたね(笑)
慣用句で妄想を膨らませると、
結構楽しいんですよね〜^^
心象の具現化ですか。
怖いお。
僕もいろいろ親に迷惑かけてたので怖いお(笑)
ども!
国語の授業でした(笑)
僕も書く前に調べて、話を修正したんですけどね、
これはここだけの話ですよーアハハハアハヾ(´▽`;)
一緒だ。僕も怖いですw
実は、敷居がどーっと上がったところが
ちゃんと理解できず。。。
みなさんのコメントを読んでいくうちに
なるほど。。。主人公の気持ちから見えた
幻かも。。。と思ったり。。。
やっぱり、彼のお父さんが仕掛けた荒っぽいご挨拶?とかも思ったりしました。。。
発想の飛躍がステキです☆
ども!
ああ、やっぱりそこですよねー(汗)
僕もあそこは弱いなーと思ってたんですよ。
敷居って書いちゃったほうが良かったかなぁ。
参考になりました!ありがとうございます。
また気付いたことがあったら遠慮なく教えて下さいね。
よろしくお願いします^^