「ねー、わたし。アイス食べたいな」
「ふーん。買ってくれば?」
「行ってきてよ。わたしジャージだしスッピンだし無理」
「ジャージでもスッピンでもべつにいんじゃね?
今の子は普通にジャージ上下で外ウロウロしてるよ?」
「あんな若い子と一緒にしないでよ。
わたしがそんなカッコでキティちゃんのサンダル履いて外歩いててホ
スト風で髪の毛なんかギシギシに痛んでて顔なんか日焼けしすぎてて
ブツブツでザラザラのキモい男にナンパされて変なキラキラしたホイ
ールが付いててダッシュボードにファーを敷きつめてるようなクルマ
に乗せられてあんな事やこんな事されてもいいの?」
「うーん。それはちょっとヤダ」
「じゃお願い」
「わーったよ。じゃー、はい」
「なによその手?」
「おーかーね」
「出しといてよ。後で払うし。今お財布持ってたじゃん」
「はいはい分かりましたよお姫様。で、何にすんの?」
「えーとねー。柚子シャーベット」
「マニアじゃね?」
「さっぱり系がいいの」
「つわり?」
「バカ」
「いてっ。モノを投げるな。 で、無かったら第二候補は?」
「ジャンボチョコモナカ」
「さっぱり系か?それ」
「いいの食べたいんだもん」
「じゃ行って来んね」
「あ。柚子シャー。ファミマに無いからね。セブンだよ」
「まぢっすかー」
☆ ☆ ☆
「はいよ」
「ありがとー柚子シャーあった?」
「これでしょ?」
「オイ。これオレシャーじゃん!」 (※オレンジシャーベット)
「ウソ。それオレの分。これでしょ?」
「やった。ありがとーこれこれ。いくらだった?キミの分もだすよ」
「なあ」
「ん?」
「なあ」
「なによ?」
「結婚しよっか?」
「・・・・・・」
「やなの?」
「いいよ」
「ほら割り勘とかめんどいしさ。一つの財布だと便利っしょ?」
「そんな理由かよ」
「はい」
「なによその手」
「指切り」
「切りって良くないんじゃない?こういう時」
「じゃーはい」
「なによ」
「ほら手ぇ合わせてー」
「うん」
「お手々のシワとシワを合わせて幸せ〜〜♪」
「ばーか」
「結婚する?」
「うん。大事にしろよ」
「はいはいお姫様♪ あ!」
「え?なに?」
「240円」
「死ね!」
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