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「夕焼け空」



空の端で、ざらついたブルーと、

くすんだオレンジが境界を争う時間帯。

ピンク色の雲を見た。

太陽が去り際に、一瞬だけ放つ色。

今、空を見上げたオレはツイてる。

視線を下ろすと、必死に自転車を漕ぐ子供。

早く帰らないと母親に怒られるぞ。

後にもう一台が続く。

弟が兄のケツを追っている。

二人とも小学校低学年だろう。

兄が弟に声を掛けた。

ママが帰ってきたら、すぐ、

ごはん食べれるようにしとこうな!

うん!

二人の男は、力強くペダルを漕ぎ、

目の前を通り過ぎていく。

お母さん。

立派に育ってますよ、お宅の子供。

共働きで家事もこなしていた

自分の母を思い出し、

少し涙腺がゆるんだ。

顔を上げる。

陽は沈み、薄紫色の空が

月の訪れを待っている。

今度の連休には家に帰ろう。

そうだ、忘れないうちに――

鞄から携帯を取り出し、

実家の番号をプッシュした。











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「禁断の愛」



「先生ダメ、人が来ちゃう」

「大丈夫だよ、ここまでは来ないさ」

「そんな、困ります」

「な、いいだろ?僕はキミの事を愛してるんだよ」

「先生と生徒の間で、こんな事していいんですか?

それに年の差だって、わたし・・・・・・」

「年の差なんて関係ないさ」

(だってあと10年も経てばキミは墓の中だろ?

そうすりゃオレには遺産がガッポリ。フフフ。

オンナを騙すのはやめらんねーな)

「本当にこんな70代のお婆ちゃんでもいいの?」

「ああ」

「先生、わたし嬉しい」

(バカ男め。わたしに遺産なんかありゃしないのに。

ありゃもう借金の形に押さえられてるのさ。

若いエキスを吸って少しでも長生きさせてもらうよ)

「さ。英会話の授業に戻ろうか」

「イエース!

イエース!カモーン!フゥゥゥ〜〜〜」











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