「はぁー、今日もスッキリしたー」
「ほんと気持ちよかったね」
「仕事の後に一汗かいて、シャワーも浴びて」
「あとは一杯飲みにいきますか! でしょ?」
「あはは、それじゃサウナに来たオジサンじゃん」
「飲んじゃったらジムに来てる意味無いって?」
「まぁまぁ、いいじゃんいいじゃん、タダなんだからさ」
「それもそうよね」
「それにしてもフィットネスジムが無料で利用できるなんて」
「いい時代よね〜」
今日も某オフィスビルの地下では、
百台以上のエアロバイクやフィットネスマシンが、24時間体勢で稼動していた。
もちろんシャワーやジャグジーなどの施設も完備である。
しかもあろうことか、
その全てが無料で利用可能だと言うのだ。
これで繁盛しないわけがない。
オープン以来、会員数は爆発的に増え続けていた。
今も、若いOLからおじさんサラリーマンまで、
老若男女が黙々とペダルを漕ぎ、マシンに取り組んでいる。
そして、ガラス張りの休憩ロビーには、
その光景を見学するスーツ姿の男性が二人。
「キミ、これで本当にビルの光熱費がまかなえるのかね?」
「ええ、すでにNYのオフィス街ではほとんどのビルが、
人力発電で電力供給をまかなっているのです」
「なるほど、素晴らしいじゃないか」
「もちろん、フィットネス会員様にはこの事は秘密ですがね、ハハハハハ」
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