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「高級車」


ええ、本当に極楽気分だったわよ。

ああいうのをきっと高級車の乗り心地って言うのねぇ。

フワフワ〜っとしてて、まるで雲の上に乗っているような感じかしら。

また乗ってみてもいいかも。

なんて思わせちゃうんだから本物だわよね。

幾らだったかって?

たしか1500万位かしら。

まぁ安い金額では無いわよね。

でも本当、素敵だったのよぉ〜。

え?

車の名前?

口車よ。

わたしもまんまと乗せられちゃったものよねぇ。

それにしても爽やかないい男だったのよ。

あんな男にならもう一度騙されてもいいわ。












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posted by layback at 18:37
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「月光ラーメン」(兄貴3)


「おう、ヤス、ラーメンでも食ってくか」

「ハイ、アニキッ、ゴチになります!」

「この店は新しくできたみてーだな。

月光ラーメン、秘伝のスープ。ま、入ってみるか」

ガラガラッ。

「ラッシャイマセェッ!!」

元気がいいじゃねーか、客はいねーけど。

「カウンターでいいな、ヤス」

「ハイ、アニキ!」

「じゃ兄ちゃん、チャーシューメン二つと瓶ビールだ!」

「ヘイ! かしこまりました! チャーシュー2丁ッ!!」

「ハイヨォ!」

厨房からドスの効いた声が返ってきた。

ラーメンを待つ間、ビールを飲みながら東京での抗争の手打ちの話や、

お向かいのアヤちゃんの話で時間をつぶす。

「お待たせしましたぁ!」

「おう!」

デカめの黒いドンブリに盛られたラーメンが、

もうもうと湯気を上げて俺たちの目の前に現れた。

旨そうじゃねーか。

薄茶色でクリーミーなスープには背油が浮かび、

そのコクのある香りは俺たちの食欲をかきたてた。

チャーシューに囲まれた真中には、ドンと煮卵が浮かべられている。

なるほど、お月さんだな。

矢も盾も堪らず、レンゲで一口。スープをすする。

う、うめぇ。

初めて遭遇する味だった。

こりゃ、ただの豚骨じゃねーな。

隣を見ると、ヤスもスープを口にして恍惚と目を閉じている。

まつ毛が変に長くて気持ちわりぃ。

オレは割り箸を手に取り、麺をすすろうとして、固まった。

見つけちまったんだ。

「オイコラァァァアッ!!!!」

オレはイスを後に吹き飛ばし、立ち上がった。

ヤスは驚きのあまりスープを噴き出している。

目をパチクリし、鼻からは麺が2本飛び出していた。

「何だコレはぁぁぁッ!! 髪の毛が入ってるだろうがぁぁぁッ!!」

ホールの兄ちゃんは体を縮こまらせて立ち尽くし、顔面蒼白だ。

厨房の中から慌てて、もう一人が出てくる。

さっきのドスの効いた声の主だろう。

「ああ! これは失礼しました、すぐに取り替えさせて頂きますので!」

男は妙に素早い動きで、俺たちのドンブリを下げた。

そう、妙に素早くだ。

そして、ホールの兄ちゃんの横に並ぶと、

二人は白い帽子を手に取り、深々と頭を下げた。

「誠に申し訳ありませんでした! すぐに代わりをお持ちします!」

眩しい。

そう、二人の頭はまるで、お月さんの様にツルッツルだった。

ありゃ、明らかに剃り上げている。

ん?

待てよ?

店員は二人ともツルツル。

って事は……

さっきの髪の毛は?

オレはあんなに長くねぇ。

ましてやパンチだし。

そういや、あの毛。

妙に根元に向かって太くなって。

妙にツヤツヤしてて。

スープには油が浮いてて……

オエッ。

「おい、代わりはもういい! ヤ、ヤス、帰るぞ〜」











アニキ@ABC D



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posted by layback at 20:36
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