「アニキぃ! 大変です!」
「朝から騒がしいぞ。一体どうしたヤス」
「大変なんです!」
「だからどうしたって訊いてるんだろうが! 落ち着けバカ野郎!」
「お、表のドアに銃痕が!」
「何ぃ! 最近都内では抗争が起きてるらしいが、こんな田舎町にまで飛び火か?
俺達の組も名が売れてきたもんだな……」
「アニキィ、そんな悠長な事言ってる場合じゃありませんぜ!」
「うるせぇ。まったく銃声は聞こえなかったぞ。 で、何発だ?」
「じ、10発です、しかも隣にはハム太郎が……」
「何ぃ? まさか……。おい! この目で確認させろ!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「アニキィ、ここです!」
「おう、どけっ! こ、これは……
じ、銃痕ステッカー? しかも隣にはハム太郎シールまで……」
「ステッカー!? って事はアニキっ!」
「間違いねぇ、お向かいのアヤちゃんの仕業だろう。
幼稚園児とは言え、ヤクザの事務所に銃痕ステッカーとは、なんと見事な悪戯だ。
分かってやっているとしたら末恐ろしい。
お前らに爪の垢を煎じて飲ましてやりてぇぜ。
しかし、子供の仕業とは言え、極道がやられっぱなしってぇのは、どうにも具合いが悪い。
ウチはやられたら倍返しが掟だからな、
お前ら、お向かいに20発ほどブチ込んでこい!」
「でもアニキ、ウチにチャカはありませんぜ!」
「バカ野郎! アメ玉20発だ」
「わ、分かりました! おいテツ行くぞ!」
「おい待て。お仕置きだからな、半分はハッカを混ぜとけっ!」
アニキ@、A、B、C D
アヤちゃん@
アヤちゃんA
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